字幕? 吹き替え? より鑑賞を楽しむためには「ジャンルによって使い分ける」がおすすめ!
「映画通なら、洋画は字幕で見るもの」
映画ファンを自称する人がそんなことを言っているのをよく聞きます。
でも本当にそうなのか?
少なくとも私は違うと思います。
吹き替えにも字幕にも、それぞれ長所と短所があります。
ですからその特徴によって、合う映画と合わな映画が出てくるわけです。
今回は、それぞれの特徴と映画の内容を私なりに比べて、より映画を楽しむための吹き替えと字幕の選び方をご紹介したいと思います。
■吹き替えと字幕の特徴
まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
ただし、これはあくまで吹き替えと字幕を比べた場合の特徴です。
吹き替え
- 長い台詞に対応しやすい
- 早い口調に対応しやすい
- 細かなニュアンスまで翻訳できる
- 複数のキャラクターが同時に喋っていても対応できる
- お馴染みの吹き替え声優の声を楽しめる
- 俳優本人の声、演技を聞けない
- 吹き替えの声と俳優、キャラクターが合っていないことがある
- 吹き替え声優が上手くないと、映画の印象そのものにまで影響してしまう
字幕
- 俳優本人の声、演技を聞ける
- 吹き替えによってキャラクター、作品の雰囲気が変わることがない
- 外国語の語感から世界観を感じられる
- 元の台詞から多少の雰囲気を感じ取れる
- 外国語の勉強になる
- 長い台詞に対応できない
- 早い口調に対応できない
- 細かなニュアンスを翻訳できない
- 複数のキャラクターが同時に喋る場面に対応できない
こんなところでしょうか。
端的に言えば、こうです。
吹き替えは、より多くの言葉を翻訳できるけれど、実際の俳優の声や演技を聞けない。
字幕は、俳優の声や演技を聞けるけれど、翻訳の範囲に制限があるため全ての台詞を網羅できない。
どちらにも、やはり長所と短所があるわけです。
■吹き替えで観るのがおすすめな映画
吹き替えの方が絶対に楽しめるジャンルがあります。
コメディです。
コメディは台詞の長いものが多く、また、キャラクターたちが一斉に喋り出す場面が多いです。
また、ウィットに富んだジョークが連発されるものもあり、細かなニュアンスが伝わらないと面白さが半減してしまいます。
ですから、長い台詞、早い口調 、複数が同時に喋る場面、台詞の細かなニュアンスに対応できる方が良いのです。
さらに、「凝った脚本」の作品も吹き替えの方が良いでしょう。
映画の中には、まるで舞台での会話劇のように台詞に凝った脚本があります。
その一例が、アーロン・ソーキンの脚本です。
近年では、『ソーシャル・ネットワーク』や『スティーブ・ジョブズ』を手がけた彼ですが、どちらの作品もまさに会話劇と言えるほど作りこんだ言葉の応酬が展開されます。
当然、長い台詞や早い口調が全編に渡っていますが、何より重要なのは、そういう長い台詞の節々に、作品のハートを理解するのに重要な言葉が滑り込んでいることです。
そういうものを落としてしまうと、作品を楽しめないばかりか作品を正しく理解することも難しくなってしまいます。
ソーキンの手がけた作品は、字幕で見るには言葉が多すぎるのです。
吹き替えで見ることが、絶対におすすめです。
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■字幕で見るのがおすすめな映画
字幕で見るのがおすすめな映画もあります。
俳優の独特の演技が光っている作品です。
例えば、『ダークナイト』でヒース・レジャーが演じたジョーカーは、その声、喋り方まで作り込まれた圧巻の演技でした。
ジョーカーの口調や声の変調などによって、台詞そのものも表現されているので、字幕で表現しきれない部分があっても作品理解が追いつかないことはありません。
※ただし、これは『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグや『スティーブ・ジョブズ』のマイケル・ファスベンダーの演技が彼に劣っている訳ではなく、演技の種類の違いです。彼らの演技は超一級でした。
これを声優さんがどんなにうまく演じても、同じようなものにはなり得ません。
ヒース・レジャーのジョーカーを楽しむためには、やはりヒース・レジャーの声で聞くのが一番なのです。
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このように映画の中には、吹き替えで見るのがいいもの、字幕で見るのがいいもの、があります。
「自分は字幕派だから!」
「吹き替えの方が見やすいから!」
などと偏らず、上手に使い分けてより映画を楽しく見るのが私のおすすめです。