『タイタニック』って名作なの? 「陳腐なメロドラマ」か「映画史に名を残す傑作」か?
※他サイトからの転載です。
■タイタニックとは?
1997年、映画界を揺るがす恋愛巨編が公開されました。
『タイタニック』です。
1912年に実際に起こったタイタニック号沈没事故を元に、貧しい絵かきの青年と上流階級の娘の悲恋を描いた作品でした。
監督、脚本、製作は『ターミネーター』などのアクション大作を手掛けていたジェームズ・キャメロン、主演は後に若き名優へと成長を遂げるレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットです。
今の若い人たちにはそこまで馴染みがない映画かもしれません。
ですが、現在アラサーの私が小学生から中学生の頃は、社会現象と言えるほどのヒットを記録し、どこへ行っても主題歌の『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン』が流れているという状態でした。
近年で言えば『アナと雪の女王』が最も近いかもしれませんね。街へ出かけると、常に『Let It Go~ありのままで~』が、どこからか聞こえてきていましたよね。
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■記録にも記憶にも残る怪物的大ヒット
様々な意味で映画史に名を刻んだ映画でもあります。
まず一つには興行成績。
モンスター的な大ヒットとなり、公開当時に記録した世界歴代興行収入一位の座を、2009年、同監督の『アバター』に破られるまで約12年間守り続けました。
『アバター』が3D映画で割増料金がかかっていたのに比べ『タイタニック』は2D、しかも1997年当時のアメリカは劇場チケットが現在よりも安く販売されていました。

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■38年の月日を経てアカデミー賞最多受賞記録に並んだロマンス巨編
アカデミー賞でも大いに認められた映画です。
それまでのアカデミー賞の最多受賞作は1959年の『ベン・ハー』でした。
それと並ぶ作品は、長いこと現れることはありませんでしたが、38年後、アクション大作ばかり撮っていた監督が突然ラブロマンス大作を手がけ、11部門をかっさらい、『ベン・ハー』に並んだのです。

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過大評価とバッシング…
興行的にも批評的にも充分過ぎる結果を出した『タイタニック』は、しかし、後にその高い人気から「過大評価である」と映画ファンからのバッシングを受けることになります。
「陳腐なロマンス映画のどこがそんなにいいのか?」と。
■タイタニックは「陳腐」? ありがち街道まっしぐらなストーリーを彩る魅力的な演技と多面的な人間ドラマ
確かに『タイタニック』のストーリーと主役二人のキャラクターが陳腐であることは否めません。
身分違いの男女の恋物語など、これまでに何度語られてきたか分からないほどですし、人物造形は1992年に製作されたディズニー映画『アラジン』とほとんど変わりません。
『アラジン』の主題歌「ホール・ニュー・ワールド」の歌詞がそのまま『タイタニック』の主題歌にも使えてしまいそうなくらいです。
まさに、ありがち街道まっしぐらです。

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しかし、そんなテンプレ通りのキャラクターであったにも関わらず、主役の二人はたいへん魅力的でした。
特にヒロインを演じたケイト・ウィンスレットは、若さと内側から迸る情熱を見事に体現し、映画に魂を注いだと言っていいでしょう。
物語も決して悪くはありません。
二人の悲恋だけでは陳腐のひとことで終わってしまったでしょうが、この作品はその他の人々へも目を向けています。
タイタニック制作に関わった人々、一等客から三等客までの乗船客、船を操る乗組員たち、船が沈没していく中演奏をやめなかった楽士たち――。
タイタニック号の中の社会が実によく描かれた、群像劇的側面を持っていたのです。
それがこの映画を実に立体的に、多面的にし、見応えのある人間ドラマを生んでいます。
それに加え、キャメロン監督がアクション大作の演出で培ってきたパニック映画ばりの迫力ある映像と臨場感に彩られたこの映画は、もちろん一見の価値ある作品です。確かに、内容だけ見れば映画界にその名を刻むほどとまでは行きませんが、たかがメロドラマと切り捨てるには惜しい、というのが私の個人的な見解です。