「小説家になろう」で参加している企画について。「描写」に関心のある人はぜひぜひ!
実は、私、「小説家になろう」と「カクヨム」というサイトで小説みたいなものを書いたりしています。
そして、最近、「なろう」の方で「描写力アップを目指そう」と題した企画に参加させていただいて、とても勉強になっています。
【習作】描写力アップを目指そう企画
で、せっかくなので、今回の企画の作品のことに触れつつ、描写に関していろいろ考えたことを書いていきたいと思います。
と言いつつ、時間がなくて、まだ半分程度しか読めていないので、読んだ分だけ。
すべて読み切ったら後半の作品についても書きたいと思います。
私の作品は後半の方なので、自作についても、次回、少し触れたいと思います。
因みに、今回は第2回の「因縁のラストバトル」の描写。
こちらについて書いています。
■良い描写のためにはイマジネーションが不可欠! 豊かなイマジネーションにより魅力的な「画」を描いた二作品
良い描写ができるかどうかの最初のポイントは「画」を思い描くことが出来るかどうかのように思います。
特にファンタジーやホラー、SFといったジャンルは独創的な「画」を思い描くための設定段階で、イマジネーションが大事になってくるように思います。
完全に私が苦手なことです…。
さてさて、恐らくはハチに近い種族?の子どもが背負わされた戦いを描いたのだろう『ロロトレルとリットリル』は、イマジネーションにより素敵な作品となった一つでしょう。
彼らがどういった習性により、どういった姿で、どういった戦いを繰り広げるかが、しっかりと描かれていました。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - ロロトレルとリットリル (冴吹稔 作)
タカノケイさんの無題の作品はSF。
こちらも豊かなイマジネーションにより荒廃した世界での人間とロボットの戦いを描いています。
描写的に見ると、冒頭で宙に浮かぶ「彼女」の姿は世界観を反映していると同時に、語り手の心に映る「彼女」への憧憬が滲んでいて、美しく印象深いです。
また、効果的な比喩が多くあり、独特な「画」を見せてもらえました。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - (タカノケイ 作)
■その場の空気感を伝える「五感の使用」と「周囲の様子を掬い上げる方法」
描写の一番のポイントは、その場の空気感を感じられるかになると思います。
それには主に二つの方法があって、一つは五感に訴えかける主観的な描写。
もう一つは、周囲の様子を細やかに掬いあげて文章に落とし込む描写。
……かなと個人的には考えています。
今回の作品でこれまでに読んだ中で、前者の五感をうまく用いているなと思ったのが『鬼怨』。
味覚にまで訴えかける描写で冒頭から掴まれます。
あとから、味覚に訴えかけてきていたのがなぜなのか、なんとなく分かるような作品なのですが、とにかくその描写の巧みさがミスリードに効果をもたらしていもいました。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 鬼怨 (外宮あくと 作)
後者のように、周囲の様子をしっかりと掬いあげて文章に落とし込むタイプだなと思ったのは『鼠がり』。
雨や泥濘が匂い立ってくるような細やかさで、その場の様子、男たちの雰囲気が巧みに描かれていました。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 鼠狩り (青月クロエ 作)
■この企画で新しく発見した描写の方法… 「郷愁」はとても強い武器になる!
今回の企画作品から、新たに気付かされた描写の方法があります。
誰もが経験したことのある題材で、記憶を呼び起こし、郷愁を誘い、書かれていること以上の映像を見せるというものです。
描写自体がすごく多いわけではないのですが、それでも徒競走を外から眺めたり、走っている時の懐かしい感覚が蘇ってきたのが『光る風のように』。
改めて、郷愁というのが作品を描く上で、とても強い武器になるなと感じましたし、それが上手く機能した作品でした。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 光る風のように (キュノ・アウローラ 作)
■目の前にあるものを描くだけが描写じゃない!
描写と言うと目の前の情景や雰囲気を描くことのように思いがちですが、心象風景を鮮やかに描き出すのも、もちろん描写。
『一迅の風になれ!』の馬と一体化したような感覚と、走り抜ける時に心に風が吹いてくるような感じは、まさしく美しい心象風景を見せられた、という感じです。
爽やかで気持ちの良い描写を見せてもらいました。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 一迅の風になれ! (さかな 作)
■バトル描写に不可欠なアクション。動作を一文の中でどう描くかが重要
さて、今回のお題は「因縁のラストバトル」だったわけで、お題を絶妙に捻って描かれた作品もありましたが、やはり王道の「バトル描写」と言えばアクションです。
そのアクション描写で大事になってくるのが、スピード感。
『朧月暗晦』は見事にそれを演出することに成功しています。
立て続けに襲ってくる妖魔と、それをどんどん倒していく様子を、一文にギュッと押し込むようにすることで、疾走感が生まれているのです。
一文の中での動作が多く、それが走り抜けるような(実際走り抜けてますし)疾走感に繋がっています。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 朧月暗晦 (観月 作)
同じく、一文の中に多くの動作を含ませるものでも『瞬きの合間に』は、普通ならば「。」 で区切ってあるような文章を「、」で繋いでいます。
短い中に動作をギュッと押し込むのとは、また違う方法です。
これは疾走感とは逆の、滑らかな動きというのを、とても良く表現していると思います。
洗練された動き、というのが目に見えるようでした。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 『瞬きの合間に』 (梨鳥 ふるり 作)
■バトルの様子を丹念に描くのが「バトル描写」なわけではない! 一瞬を描き出すことも、限られた描写の中で上手くその様子を伝えることもできる
バトル描写を上手く、と思うとどうしてもそのバトルを細かに描こうとしてしまうものですが、『刹那の花』は剣が交わる「刹那」そのものを描写によって表現しています。
一瞬の戦いを一瞬として描くことができる、というのはかなりカッコイイなと思いました。
まねしたくてもなかなかできない類の描写だなと感じ、ひたすらすごいと思ってしまいました。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 『刹那の花』 (八雲 辰毘古 作)
さて、だいぶ話題が変わりますが、第三者の視点からバトルを描写することは難しいです。
先に述べたように、描写には五感を使った表現が効果的ですが、体の感覚を使うのは非常に主観的な方法です。
だから、第三者の視点や神視点で描かれているものは、五感による描写に制限ができてしまうのです。
視覚かあるいは多少の聴覚くらいしか使えなくなってしまいます。
そういう中で、上手く「ごっこ遊び」の最中の戦い? を描いていたのが『魔王ごっこ』。
視覚による説明だけで、どういう組み合いになっているかが分かりました。
【習作】描写力アップを目指そう企画 - 魔王ごっこ (SH 作)
読んだもの全てに触れることができなくて申し訳ないです…。
でも、ここに書いていないものも、上手く言葉にならなかっただけで、とても素敵な作品ばかりです。
もし、「小説家になろう」を利用している方がこのブログをお読みだったら、ちょっと覗いてみると、良い作品、良い書き手の方と出会えるのではないかなと思います。
では、時間がかかりそうな気がしますが、続きはまた今度に…。